肝機能検査

 肝機能検査は,肝臓の機能や肝臓で生じる現象をとらえるための検査です。
肝合成能をみるには,アルブミンのほか凝固因子(プロトロンビン時間など)やコレステロール,コリンエステラーゼなど。
肝細胞傷害では,肝細胞からの逸脱酵素であるASTやALTのほか,LDや直接ビリルビン(抱合型)。
また肝胆道系の閉塞を示すマーカーには,γ-GTやALP,直接ビリルビン(抱合型)といった検査があります。
さらに肝臓が慢性炎症から肝硬変に進展する過程では線維化が進むことから,線維化のマーカーもあります。

肝機能検査.JPG

 しかしながら,個々の検査項目における異常値は肝臓以外の臓器障害が原因となっても生じます。
アルブミンはネフローゼ症候群のような尿中排泄亢進でも低下し,栄養状態の悪化でも低下します。
ASTは全身の細胞に含まれ,ALTも肝細胞に特異性が高いとはいえ筋疾患でも上昇します。
またビリルビンは,溶血亢進でも上昇します。

 つまり肝臓の病態を把握するためには,どの機序によって変動する検査項目に異常があるかを判定し,他の原因を排除しながら障害のタイプを鑑別することが重要です。また,そこから疾患名を考え,異常の度合いで重症度を推定していくことが大切となります。

  • 最終更新:2011-12-30 09:29:40

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